HSP=Highly Sensitive Person:とても敏感な人
敏感な人の多くは、自己評価が低いのです。HSPの人たちは、自分とはまったく異なるタイプの行動が評価される文化で生きてきました。HSPのなかには、ほかの人たちから期待される通りの元気なキャラクターでいようと苦心し続け、本来のマイペースでおとなしい自分の性格を受け入れられたのは、年金生活に入ってから、などという人もいます。
こんにちは!
このブログではメンタルトレーニングの記録を気ままに綴っております。
今回は、デンマークで心理療法士をされているイルセ・サンの著書、「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」という本を読んだのでご紹介します。
敏感な人の特徴とその秘められた能力がわかります。
さっそく本書の結論を言います。
結論:「HSPを受け入れて自分の長所や可能性に注目しよう!」
こんな人におススメ。
・人からよく「気ぃ遣いぃー」と言われるあなた
・ついつい他人の長話につき合わされるあなた
・敏感で繊細だと感じる自分を少し否定的に感じているあなた
それではスタート!
HSPとは
HSPとは、「とても敏感な人」という意味です。
アメリカの精神分析医で学者のエイレイン・アーロンという方が提唱されたものです。
ちなみに、「敏感な人」の反対は「タフな人」と本書では述べられております。
意外だったのがHSPの割合。
なんと、世の中の5人に1人はHSPだそうです。
HSPの特徴
「とても敏感な人」といっても、その敏感さを構成する要素と組み合わせは人それぞれ。以下は本書で紹介されている要素の例です。
・良心的
・創造的
・インスピレーションを得やすい
・影響を受けやすい
・感情移入しやすい
思い当たる部分はありますでしょうか?
一見良いイメージのある要素も、場合によっては良くない方向にも働きます。
例えば、上の項目の「影響を受けやすい」であれば、以下のように2面性を持っています。
・良いところ:
禁煙ブームに乗ってみる。スポーツジムが近くにできたので運動を始める。
・悪いところ:
雰囲気に流されてお酒をついつい飲みすぎる。儲け話につられてしまう。
エレインは、HSPとはさまざまな特徴が複雑に合わさった人たちである、としています。たとえば、「良心的」「創造的」「インスピレーションを得やすい」「影響を受けやすい」「感情移入しやすい」など。これらの特徴は、人生に不都合をもたらすおそれがありますが、その反対に、創造力や共感力、親しみなどを生む源にもなりえます。
HSPは診断が可能
本書では約50項目の質問に答えることでHSPの自己診断ができるようになっています。
ちなみに私は82点でした。HSPの可能性があるそうです。
質問項目の一例ですが、
・美しい音楽を聴くと、興奮する
・毎日、1人でいる時間が必要だ
・誰かの怒りを感じるとたとえ自分にむけられていなくても、ストレスになる
などがあります。
コーヒーでも飲みながらリラックスして診断してみてはいかがでしょうか?
※点数が60以上でHSPの可能性がある
HSPの能力
本書の中ではHSPが持つ能力として7つ挙げられております。その中から3つ+αをご紹介します。
能力だなんて、、、なんか自慢しているみたいでいい気分になれます(笑)
1.一度に多くの情報を吸収できる
以前に、「飽き性」について調べてみたことがあり、それと似ているなぁと感じました。
飽き性の人は、情報の整理が早いそうです。
そのため、何かやりはじめても吸収した情報をすぐに整理することができます。
その結果、理解できるまでの時間が早くなり、飽きてしまうようです。
HSPは敏感な神経の持ち主です。
HSPは細かいところまで感じ取り、受け取った情報が心の奥深くまで届きます。
HSPは大いなる空想力と、物事を生き生きと思い描く想像力を備えていて、外界から得た情報を元にさまざまな思考や空想を広げます。そのため、HSPの”ハードディスク”は、ほかの人たちよりもすぐにいっぱいになり、過度に刺激を受けたと感じます。
2.共感力が高く、気配り上手
HSPは「相手が今何をしてほしいか」、「どうすれば喜ぶか」を感覚的につかんでいる時があります。
それと同時に、「相手に良く思われたい」、「嫌われたくない」という心理も働いていることも事実かと思います。
HSPは共感力が高く、他人に感情移入することができます。
そのため、相手の気持ちを察知することができ、とても気が利きます。HSPの多くが、サービス業や人をサポートする仕事に身を置き、相手から感謝されるようです。
3.想像力が豊かで、内的生活が充実している
あなたは空想や物思いにふけることがよくありませんか?想像力がある証拠です。
ちなみに、内的生活とは、辞書を引くと「内面生活」や「精神生活」と出てきます。
内的生活という言葉の意味については色々な解釈があるかと思います。
個人的な意見としては、1人の時間を大切にしたり、趣味に没頭したりと「自分がしたいとができている生活」なのではないかと私は解釈しています。
強烈なインスピレーションは、うまく自分で昇華できれば、もちろん大きな価値があります。HSPの人の多くが、芸術作品を作り出します。1つだけでなく複数の分野にまたがって、創作活動する人もいます。
+α:表面的にはHSPに見えないひともいる
一般的にHSPというと内向的な部分が特徴になりますが、なかには外向的なHSP、刺激を求めるHSPもいます。
割合で言うと、HSPの7割が内向的、3割が外向的とされています。
HSPが外向的になる要因として本書では2つあげられています。
・大家族で育ったケースが多い
・内向的な部分を周囲から認められなかった
外向的なHSPがすぐに疲れてしまうのも無理ありません。
自分の限界以上に社交性を発揮しようと頑張っていたのですから。
また、外向的なHSPでも刺激を求めるHSPが一定数いるそうです。
刺激を求める理由は先ほど紹介した、「一度に多くの情報を吸収できる」能力に関連しているのではないかと思います。
HSPの大半は、スリルよりも安心を優先し、慣れ親しんだものに心地よさを見いだします。ところがHSPのなかには、冒険心が旺盛で、探検が好きな人もいます。
すぐに退屈を感じてしまって何か行動すると、そのせいで刺激を過度に受けてしまうという人は、恐らく刺激を求めるタイプのHSPでしょう。このタイプの人は、いかにしてバランスをとるかが課題になります。
このようにHSPの理解を深めるためにタイプ分けがされておりますが、本書ではその注意点として次のように述べられています。シンプルな文ですが改めて気づかされました。
タイプ分けは、人間が人それぞれ異なるということに気づくためのものです。
このタイプ分けに限らず「こういうタイプだからこういう人」と決めつけることではなく「世の中には色んな人がいる」ということですね。
当たり前のことですが忘れがちです。
HSPが抱えやすい問題
敏感ゆえに問題も抱えやすいHSPですが、原因を理解していれば対処方法は自ずとみえてきますので心配する必要はありません。
特に重要かなと感じたHSPが抱えやすい問題を紹介します。
自分自身に高度な要求をしてしまう
HSPのなかには完璧主義の人が多いかもしれません。
何事にも完璧を目指すため自分に高度な要求や基準を設けてしまう。
本書によると原因は自尊心の低さにあるそうです。
自尊心とは「自分に価値があると思えること」です。
「がんばらない自分には価値がない」と思い込むあまり、過度に自分に厳しくしてしまいます。
もし、そういう部分があるようでしたら、次の文を言葉に出してみるといいかもしれません。
「ほどほどでよし!」
自分に高い基準を設けてしまうたいていの要因は、自尊心が低いことにあります。
高い基準は、自尊心の低さを補うために設けたもので、愛される価値が自分にあると信じる気持ちが弱ければ弱いほど、それを取り返すための戦略をとるのです。
皆の期待通りのよい自分になる努力をやめ、ありのままの自分を見せるようにすれば、人生にさらなる喜びを与えてくれるような新しい体験が待っていることでしょう。
罪悪感と羞恥心に苛まれてしまう
自分の力がおよぶ範囲で抱く罪悪感であれば問題ありません。
しかし、HSPは自分の力がおよばないことに対しても罪悪感(度を越した罪悪感)を抱いてしまう場合があります。
また、自分に根本的な欠陥があるという感情から、羞恥心も抱きやすくなります。
特に満たされない子供時代を送った場合は羞恥心が芽生えやすくなるそうです。
本書では度を越した罪悪感を抱かないようにするため、次のような方法を紹介しております。
「他人の機嫌が悪いのは、もしかして自分のせい?」ってのを見える化する方法です。
1.相手の機嫌が悪い原因をリストアップする
2.各項目をパーセンテージに表す
3.自分のせいではないことを認識する
リストアップする項目とその数値例を挙げてみます。
・仕事で上司に怒られた(朝にその状況を見た、聞いた):50%
・休日出勤が続いている:25%
・体の調子が優れない:20%
・夫婦関係がうまくいっていない:残り、、、
・自分が何かした(思い当たらない):1%
数値に出してみると、相手の機嫌が悪い原因はほぼ自分にないことに気づくことができます。
本書では自分の姉または妹が鬱だった場合の例が挙げられていますが、本質は同じです。
つまり、項目をリストアップしてパーセンテージをつけることで客観的な判断ができ、その結果「度を越した罪悪感」から解放されるということです。
相手の機嫌や健康状態が優れない原因はホントにあなたにありますか?
敏感な自分とうまく付き合うには
さて、最後はHSPの自分と上手に付き合っていく方法です。
本書では8つ紹介されておりますが、今回は特に良いと思った方法3つをご紹介します。
1.HSPの能力を楽しむ機会をつくる
自分の個性を存分に楽しんでみましょう。
本書によると、HSPの人は芸術や創作系に関して得意と感じる人が多いようです。
料理教室や陶芸教室、書道、絵画、スポーツなど、なんでも良いと思います。
自分が楽しいと思える機会を増やしてみてください。
本書の巻末にHSPを楽しみための「アイデアリスト」がありますので一部ご紹介します。
・芸術鑑賞をする
・子どもと過ごす
・自然のなかに行く
・瞑想する
・本を読む
ちなみに、最近私は思いつきでアーチェリーをやってみました。
個人競技なのでマイペースにやれて面白いです。
この他にもHSPの五感に触れるような具体的な行動リストが書かれているのでぜひ本書を持ち歩きながら「これ!」と思ったものを試してみてはいかがでしょうか?
敏感さから最大限の喜びを引き出すには、敏感であることを楽しむ機会を確保することが大切です。
2.過度な刺激を受けたら、じっと自分の内側に集中する
「1人でいる時間」は誰にでも必要かと思います。
特にHSPに関しては、そういう時間を定期的に設けてもよろしいかと思います。
おすすめは、隙間時間(通勤や休憩)をうまく使って日記をつけたり、公園に行ってボーっとすることです。
特に「書くこと」は心理療法などでも採用されている方法なのでおすすめです。
大切なのは、何にも注意を向けず、意識を休ませることです。新しい情報ができる限り入ってこないようにすることで、エネルギーを自分の内面に集中させ、すでに入りこんでしまった情報を整理できます。
本書では次のようなやり方も紹介されてました。非常に簡単なのでとりあえずやってみてもいいかもしれないです。
私もやりましたが、かなりいい感じです!
私はときどきクライアントに、自分自身にハグをするか、肩を優しく叩く練習をするよう言います。たいていの人は、抵抗感を示します。でも実際にやってみると、自分がいかに愛情をこめて触れられることに飢えていたのかを感じ、泣き出す人もいます。
肩をたたきながら「ほどほどでよし!」と言うのもありかなと思いました。
3.自分らしくいることの喜びを感じる
やはり、なんといってもこれではないでしょうか。
「自分らしく」
この記事の最初のほうで「自尊心」のことについて触れました。
自尊心とは「自分に価値があると思えること」です。
HSPであることを受け入れて、自分のできること、できないことを受け入れ、ありのままの自分でいることに寛容的でいましょう。
自分のことをHSPだと意識することで、さまざまな変化が起きます。
まず、自分がほかの人と違うということが、大して恐ろしいことでも、禁じられることでもないと感じられるようになります。また、同じ悩みを抱える人と出会えるかもしれません。
番外:子育ては、無理をしない
少し、話しはズレますが本書ではHSPの「子育て」についてちょいちょい書かれています。私も、子どもを持つ親として気になるところではありますので少しだけ触れさせてください。
敏感な心を持つHSPには、親としての資質が大いに備わっているはずです。注意深くで、直観力があり、子どもが何を求めているのか察するのが上手でしょうし、共感力があり、よい親になるために自分にできることは何でもするに違いありません。
子どもにすごく好かれたい!
というのは親として当たり前の感情であると思います。
ただ、その感情が行き過ぎて、子どもも自分も疲れないようにしたいところです。
この一文は親としての自信を持つことにとてもつながる一文でした。
まとめ:HSP(とても敏感な人)の特徴とその秘められた能力とは
いかがだったでしょうか。
HSPは共感力、直観力があり創造的な面を持ち合わせています。
また一方で、とても敏感で繊細といった理由から完璧主義になりやすく、過度な罪悪感や羞恥心を抱きやすいという面もあります。
しかしながら、すべては「あなた」という存在を形作る要素です。
繰り返しになりますが本書の結論は「HSPを受け入れて自分の長所や可能性に注目しよう!」です。
あなたの特性を大いに利用して、あなたのペースで、あなたの感覚で、これからも人生を楽しむ機会を増やしてください!
敏感な気質は、治療によって変えることはできません。HSPである私たちには、これからもこまめな休憩が必要ですし、ほかの人たちよりも自分自身をいたわる必要があります。
それではまた!